怖い話2(怖い話の真実)

新人はトイパイセンから声を掛けられました。

「今度のブログのネタで怪談っぽいのあるだろ。あれ、柚姫の部屋に投稿すれば?」

確かに次回予告では怪談ネタを募集するとありました。

「瀬戸口さんの予告文を見ると、読まれる可能性が高いって。応募が少ないかもしれないから、埋め草として使ってもらったらどうかと思うんだ。使われなくてもブログに上げればいいだけだろ」

「センパイ、応募はメールでするみたいです。新人はプライベートのメアドしかないです。」

「そうか。じゃあ、俺が送るからテキストデータをくれ。」

新人はデータの入ったメモリスティックをトイパイセンに渡しました。

 

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柚姫の部屋ご担当者様

新人がブログ用に書いていた怪談データを預かりました。

よろしければ埋め草としてお使いください。

ダメでもブログにアップしますのでお気になさらずに没にしてください。

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その後は、ご存じのとおりです。

トイパイセンの投稿として大黒さんに読まれる事となってしまいました。

大黒さんの明るい性格もあり、マイルドに怖い話は読まれました。

原文をブログに上げたところ、意外と怖いというご評価をいただきました。

 

実はあの怖い話は実話をもとに、脚色したものなのです。

今回はあの事件の真実を書きたいと思います…

 

新人は大学生の頃、小学校の警備員のバイトをしていました。

警備会社に任せるかアルバイトを雇うかは学校の判断でした。

実入りのいいバイトですが、それなりに人は見られるので、先輩から後輩へ相伝のような形で受け継がれていました。

分配を減らしたくないのでその年は新人と後輩二人でやる事にしました。

二人で毎日泊まり込んでもいいし、一人で月半分止まってもいいという事なので、後者を選びました。

 

18時に全校舎の鍵をチェックして回り、残っている者がいれば帰らせたり、鍵がかかってなければ掛けたりして回ります。

30分くらいで1階から4階までを一回りして休憩。

22時に2度目の巡回に行きます。

要所要所の照明だけ点けて、再度1階から4階までを回ります。

夏熱く、冬寒いのを除けば楽勝な仕事です。

 

待機、宿泊は用務員室を使っていました。

用務員が17時30分までいて、入れ替わりで警備員が使います。

流しやシャワー、寝具もあり、テレビと扇風機とこたつはあり、それなりの居住環境でした。

怖がりですが、霊感の鈍い新人はそれほど苦になる仕事ではありませんでした。

 

先生たちが引き上げるのが20時、それ以降は巡回時間以外自由です。

テレビを見たり、本を読んで時間をつぶしますが、友達が来ることもありました。

 

8月の盆、高校の友達が警備員室に遊びに来ていました。

一緒にテレビを見てたのですが、22時になったので新人が巡回に行く準備をして立ち上がりました。

「巡回に行くけん、もう帰り!(巡回に行くから、もう帰れ!)」

「よか。今日泊っていくけん。俺もついていっちゃろうか?(いいよ。今日は泊まっていくから。俺もついていっていやろうか?)」

友人は泊まる気満々で、夜の小学校と言う新鮮な環境に興味を持っていました。

新人が20個ほどの鍵束と懐中電灯を持って廊下に出ると、友達も着いてきます。

夜の校舎は周囲の民家までも少し距離があるため静かです。

新人は慣れているので照明は常夜灯のみを頼りに巡回していました。

長い廊下を二人で歩く足音だけが聞こえます。

4階の廊下を歩いている時、隣りを歩いている友達が急に小声で話しかけてきました。

 

「新人、そこにおるよね…(新人、そこにいるよな…)」

新人は何を言っているのかわかりませんでしたが、やがて友達の言っている事に気付きました。

ヒタ、ヒタ、ヒタ…友達の足音だけがしていました。

 

友達は横目で新人を見ていました。

新人は無言で、仕事なので教室の中を懐中電灯でチェックしながら歩いていました。

その間も友達の足音だけがしています。

教室を全部見終わり、警備員室に戻り始めました。

二人は無言で歩き続けました。

足音は1つだけ聞こえます。

その時、友達が声にならない悲鳴を上げて走り出しました。

衝動的に新人も走り出しました。

二人は夜の校舎をダッシュして警備員室に駆け込みました。

「どげんしたと?(どうしたの?)」

新人が荒い息をしながら友達に聞きました。

友達は額に汗を浮かべて震えていました。

「なんで二人で歩きようとに、新人の足音がせんとや!?(なぜ二人で歩いているのに、新人の足音がしないんだ!?)」

「!!!!」

新人は笑いそうになりました。

 

結局、その夜は泊まっていけと勧める新人を横目に、友達は逃げるようにして深夜の学校を後にしました。

 

その夜の出来事は、新人の性癖に寄るものが原因でした。

子供の頃から目立つことが嫌いで、常に気配を消している事を好む新人は、歩く時にも必要以上の音を立てない癖がありました。

さすがに砂利の上では消せませんが、普通に道路や床などを歩く時にはほとんど音を立てません。

その事を知らなかった友達は災難でした。

隣りにいる新人の気配がしないことから、新人の事を幽霊ではないかと思ったそうです。

緊張が切れて走り出した友達を見て、新人も驚いて走り出したところ、音もたてずに追いかけてくる新人に更に恐怖を覚えた友達が逃げ惑ったというのが真実でした。

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コメント: 4
  • #1

    けんちゃん777 (火曜日, 18 8月 2020 07:53)

    気配を消せるって実は新人さんは霊的な...(((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル

  • #2

    ばけちゃん (火曜日, 18 8月 2020 11:18)

    訛りが気になりすぎて恐怖どころじゃなかったです
    ((;゚Д゚)ガクガクブルブル

  • #3

    No.59 (火曜日, 18 8月 2020 12:25)

    新人さん隠密の方だったのですね( ゚∀゚)

  • #4

    あさり (火曜日, 18 8月 2020 20:16)

    柚姫の部屋流し見してたので、新人さんのネタがよくわかんなかったけど・・

    コレは面白い���
    笑いをありがとうございます。

    わたしは気配消すことできなくて、夜勤の巡視で寝てる患者さん起こすくらいだから、、�